<官房長官「辞任といった指摘は当たらず」 NHK2017/2/9>

<菅官房長官は午前の記者会見で、「稲田防衛大臣は、『日報が作成された当時、南スーダンにおいて、法的な意味での『戦闘行為』、すなわち国際的な武力紛争の一環として行われる、人を殺傷し、または物を破壊する行為は生じていない。このために、南スーダンで起きていたことを『武力衝突』と表現している』と繰り返し説明した」と述べました。

そのうえで菅官房長官は、記者団が「稲田大臣は、PKO参加5原則が崩れた状態としないために、『戦闘』を『武力衝突』と置き換えたのではないか」と質問したのに対し、「それは当たらない。法的な意味での『戦闘行為』は、国際的な武力紛争の一環として行われることが前提となっており、こうしたことは生じていない。全く問題ない」と述べました。

さらに、菅官房長官は稲田大臣の進退について、「政府としての認識を説明しているものであり、辞任といったような指摘は全く当たらない」と述べました。>

 

 s これを報じたNHKは、詭弁ともいうべき稲田答弁に対して、メディアとしてのコメントは一切無く、野党のなかでは民進党の<集中審議要求>のみを、稲田擁護の官房長官談話の四分の一以下のスペースで伝え、他の野党の対応はすべて省略して伝えない−という安倍政権よりの姿勢を示した。

 

 先の大戦で軍の大本営発表は、日本軍の全滅を<玉砕>と美化し、敗退を<転戦>と言いつくろい、多くの戦局の実際の状態を国民に隠蔽して<進メ一億火の玉ダ!>と国民を戦争に協力させた。これにより、沖縄をはじめ各都市も爆撃・砲撃により国民の死傷者は200万人にも及んだと言われる。そして敗戦後も一部の人々やメディアを除いて、ジャーナリズムの責任を深く反省し、将来に向けて正しい総括をしたとは言いがたい状況だった。

 いま安倍政権の懐柔と恫喝により、政権の施策に批判的・懐疑的なテレビ・新聞などの報道は少なくなって来ている。

 このことが、稲田防衛相の詭弁を国会で許し、菅官房長官の更なる妄言を助長させているとさえ言える。

 今や日本国民は、戦前のファッショ的暗黒政治に呑み込まれつつある。

 これへの歯止めの一つは、自由闊達な言論の自由を守り抜くことにある。良心的な記事を載せる多くの地方新聞や<しんぶん赤旗>の健闘を願うや切。

 

<社説>報道立ち入り規制 表現の自由を侵す暴挙だ>琉球新報17/1/20

明らかに工事の加速化を意図したメディア排除だ。許し難い取材妨害であり、言論の自由を侵す暴挙と言わざるを得ない。

 米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設で、沖縄防衛局は沖縄県記者クラブに加盟する報道各社に、刑事特別法の条文を示し、辺野古沖の臨時制限区域に立ち入らないよう求める文書を送付した。
 沖縄防衛局は「臨時制限区域の境界を明示するとともに、作業の安全確保に万全を期すため」という理由で海上フェンスを設置した。抗議行動を展開する船舶の進入を阻止するためだ。
 防衛局の文書には「1年以下の懲役または2千円以下の罰金もしくは科料に処する」という刑特法の罰則規定を示し「許可なく立ち入ることのないようお願いする」と申し入れている。刑特法適用をちらつかせた取材妨害であり、報道各社に対する許し難い脅しだ。到底容認できない。
 そもそも刑特法は米軍の軍事機密保護や訓練妨害の抑止を狙いとした法律である。建設現場の取材活動は軍事機能に直接関係しない。
 基地問題に詳しい横田達弁護士は「法の趣旨を逸脱して報道に脅しをかける国の姿勢は、表現の自由に直接介入するような行為だ」と厳しく批判している。
 米軍北部訓練場におけるヘリコプター着陸帯に反対する抗議行動に対しても政府は刑特法を適用し、市民を逮捕した。しかし、市民の抗議行動は軍事機能に関わるものではない。刑特法を盾にした不当な市民弾圧ではないのか。
 危惧することは報道の監視が広大な海域に行き届かなくなることだ。報道各社の取材を通じて市民の抗議行動に対する海上保安官の過剰警備が明らかになり、社会問題化した。
 報道の目が届かなくなることで、抗議活動に対する著しい暴力行為や人権侵害が横行する可能性は否定できない。臨時制限区域を無法地帯にしてはならない。
 561・8ヘクタールもの臨時制限区域の存在自体問題だ。軍事機密があるとは言えない。設定以前は遊漁船や観光遊覧船も航行していた。広大な制限区域の設定は市民の正当な権利である抗議行動やマスコミの取材活動を排除する狙いが明白だ。
 国が取るべき道は工事中止と制限区域撤廃だ。刑特法を振りかざす言論弾圧は直ちにやめるべきだ。

<1%の富裕層・大企業でなく、99%の国民を豊かに>しんぶん赤旗 17/1/26

小池書記局長が代表質問/参院本会議

「1%の富裕層や大企業ではなく、99%の国民を豊かにする政治を」―。日本共産党小池晃書記局長は25日、参院本会議で代表質問に立ちました。富裕層・大企業が潤う一方で、深刻化する貧困と格差を是正することこそ政治の最大の責任だと強調し、破綻が明瞭な安倍政治を転換するため、野党と市民の共闘を発展させる決意を表明しました。(質問全文)


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(写真)代表質問に立つ小池晃書記局長。奥は安倍晋三首相=25日、参院本会議

 小池氏は、安倍首相が施政方針演説で「確実に『経済の好循環』が生まれている」と述べたのに対し、「国民にはそうした実感は全くない」と指摘。大企業の内部留保が386兆円余りと過去最高に達する一方、第2次安倍政権発足前と比べて実質賃金は年収で19万円減、家計消費は15カ月連続で前年比マイナスだとして、「これを『経済の好循環』というのか」とただしました。

 安倍首相は、都合のいい経済指標を並べて正面から答えず、家計消費について「長期的に減少傾向となっている」と述べました。

 小池氏は、格差と貧困を正し、中間層を豊かにする「四つの改革」を提案しました。働き方の改革では、長時間労働の規制、「非正規から正規へ」の流れ、中小企業支援で最低賃金の時給1500円への引き上げなど、「8時間働けばふつうに暮らせる社会」の実現を主張。安倍政権が残業時間に限度を決める法案を提出するとしたのに対し、「月80時間で検討しているとの報道もあるが、過労死基準を上限にするなど許されない」と厳しく批判し、4野党共同提出の長時間労働規制法案の成立を求めました。

 文部科学省による組織的な「天下り」(官僚の退職後の再就職)あっせんの問題で、全容の徹底解明を要求。第1次安倍政権が2007年の国家公務員法改定で「天下り」を原則自由化し、内閣の下で一元化する仕組みをつくったもとで今回の事件が起きたとして、安倍首相の責任を問いました。

 小池氏は、沖縄の米軍辺野古新基地反対は保革を超えた「オール沖縄」の民意だとして建設の断念を迫りました。

 また、原発政策での安倍政権の無責任な対応を追及。東京電力福島第1原発事故で21兆5千億円もの処理費用を株主や大銀行の責任も問わず国民に負担を押し付けようとしていることや、新たな高速実証炉の開発計画を批判し、再稼働中止と再生可能エネルギーの本格的導入への転換を求めました。

 安保法制=戦争法など「戦争する国」づくりに対し、「安保法制=戦争法を廃止するため、野党と市民の共闘をさらに発展させていく」と表明しました。

 小池氏は、「共謀罪」(テロ等準備罪)法案について政府が「一般人は対象にならない」と繰り返しているものの、「判断するのは捜査機関であり、共謀しているかどうかをつかむために多数の一般人が盗聴や監視の対象となるのではないか」と警告しました。

<条約締結で新法わずか2カ国 「共謀罪」の口実 破たん>しんぶん赤旗17/1/26/(木)

安倍晋三首相は参院本会議で25日、今国会で提出を狙う「共謀罪」(テロ等準備罪)法案について「テロを防ぐ『国際組織犯罪防止条約』を締結するため」と説明しながら、187カ国・地域が結んだ同条約によって「新たに国内法(共謀罪)を整備した国は、ノルウェーブルガリアがある」と述べ、2カ国しか示せませんでした。日本共産党小池晃書記局長への答弁。

 国際組織犯罪防止条約は2003年5月に国会が承認したものの、政府は「条約を実施するための国内法」がないとして締結していません。

 しかし小池氏は、日本がすでにテロ防止のための13本の国際条約を締結し、57の主要重大犯罪について、未遂より前の段階で処罰できる国内法をもっていると指摘。「共謀罪」を留保しても条約締結の壁にはならないと強調し、政府の言い分が成り立たないことを浮き彫りにしました。

<共謀罪「監視だ」野党反発 「五輪に不可欠」首相強調>東京新聞17/1/26/朝刊

三日間にわたる衆参両院の各党代表質問では、犯罪計画を話し合って合意することを処罰対象とする「共謀罪」と同じ趣旨の「テロ等準備罪」を巡り、論戦が繰り広げられた。野党がさまざまな疑問や懸念を投げかけたのに対して、安倍晋三首相は二〇二〇年の東京五輪パラリンピックに向け創設が不可欠と強調した。 (横山大輔、古田哲也)

 テロ等準備罪は、犯罪を実行する前の計画の段階で捜査や処罰の対象にする。政府は過去に法案を提出した時は共謀罪という表現を使っていたが、今回は世論の反発を意識し、テロ等準備罪に書き換える。

 共産党小池晃書記局長は思想や良心の自由を保障した憲法一九条に基づき、テロ等準備罪を盛り込む組織犯罪処罰法改正案を「違憲立法だ」と指摘。自由党山本太郎共同代表も「国民を監視し、権力が思想・信条の領域に足を踏み入れる、とんでもない法律」と批判した。

 首相は、犯罪の主体をテロ組織をはじめとした組織犯罪集団に限定していることなどを理由に「共謀罪と呼ぶのは間違い」と強調。「国民の思想や内心まで取り締まる、多数の一般人が監視の対象になるという懸念は、全く根拠のないものだ」と反論した。

 テロ等準備罪の創設を急ぐ理由に関し、首相は日本の国際組織犯罪防止条約の締結に同罪が必要で、「条約を締結できなければ東京五輪を開けないと言っても過言でない」と述べている。自民党岡田直樹幹事長代理も、未締結の現状を「国際的な捜査協力や情報ネットワークに入れないのは異常な事態」と非難し、今国会での法案成立を目指す政府を後押しした。

 だが民進党大串博志政調会長は、日本の刑法体系で予備罪、準備罪など共謀を犯罪とする措置が既にかなりあることから「現行法で十分という有力な議論がある」と指摘した。

<「共謀罪」通常国会に提出へ 首相、与党幹部に伝達>東京新聞17/1/5/13/52

安倍晋三首相は5日昼に官邸で開いた政府与党連絡会議で、テロ対策強化策として「共謀罪」の新設を柱とする組織犯罪処罰法改正案を、今月20日召集の通常国会に提出する方針を与党幹部に伝えた。出席者が明らかにした。菅義偉官房長官も記者会見で「テロ対策のための法律を政府として考えている」と表明した。2020年の東京五輪パラリンピックに備えるため、成立を急ぐ必要があると判断した。

 首相は改正案の今国会成立をにらみ、対応に万全を期すよう与党側に要請した。

 菅氏は会見で、東京五輪に関し「テロを含む組織犯罪を未然に防ぐため、万全の体制を整えることが必要だ」と強調した。

(共同)

<派遣陸自が日報廃棄>2016年12月28日(水)しんぶん赤旗

<南スーダン 武力衝突時の資料>

アフリカの南スーダン国連平和維持活動(PKO)の陸上自衛隊派遣部隊が、現地での活動状況を記録した日報を廃棄していたことが27日までにわかりました。南スーダンPKOでは今月11日に武器使用を伴う「駆け付け警護」や「宿営地の共同防護」の任務を付与された第11次隊が活動を始めています。戦争法のもとでの活動を、国民や国会が検証するために欠かせない1次資料が、自衛隊内の判断だけで廃棄されていました。

 廃棄は、首都ジュバで政府軍と前副大統領派の武力衝突があった同時期の7月7日~12日の派遣部隊の活動日報について、ジャーナリストで「平和新聞」編集長の布施祐仁さんが9月に行った行政文書開示請求でわかりました。防衛省は今月2日付で「すでに廃棄しており、保有していなかった」と不開示を通知していました。

 陸上自衛隊文書管理規則ではPKO業務の文書保存期間は作成翌年4月1日から3年ですが、例外として「随時発生し、短期に目的を終えるもの」は作成翌日から1年以内の廃棄を認めています。

 

防衛省統合幕僚監部は「短期に目的に終えるものは報告を終えたうえで廃棄している。日報は、日本国内の上位司令部に報告した時点で、文書の用途は終わっている」としています。

 布施さんが防衛省に開示請求して入手した「国会想定問答」によると、日本共産党小池晃書記局長が昨年8月、戦争法成立を前提に実施計画を立てていたとして参院で取り上げた統合幕僚監部の内部文書も、保存期間は1年未満とされていました。重大な政策決定過程や、国内法・国際法で正当性が問われる問題の文書が、国民の目にふれないまま自衛隊の判断で廃棄されたことになります。

検証に不可欠

布施祐仁さんの話

 「日報」は海外派遣について国会や国民が検証する上で不可欠な1次資料であり、自衛隊内部で報告が済んだら「目的を終える」ものではない。これがまかり通ったら、どんな報告文書も短期に廃棄できるし、廃棄されれば検証が不可能になってしまう。「国民共有の知的資源」である公文書が、自衛隊内の恣意(しい)的な判断で短期に廃棄されることはあってはならない。