<天皇退位論>

 人間高齢になれば、誰しも100%うまく身体は動いてくれない。明仁天皇の国民に対するビデオメッセージの痛切な悩みは誠によく解る。

 これは根本的に、人間とは老化する生き物だ、という自明の事柄を無視した現行天皇システムに課題がある。しかし歴史的にそれがどういうことか等と論ずればキリがない。

 この課題に対して当面の最良の解決策は、以下のとおりであろう。

一つは現行天皇システムに、事情によって天皇の退位を認める、さらには天皇の定年制を導入することが必要だと思う。勿論摂政システムは残して置く方がそのような事態にも対応できる。

二つには天皇退位以後の処遇を予め決める。この場合一つは、全く天皇個人の望む自由な道を選択できる。

または古来からの、天皇家とそれに関連した文化的有形無形の伝統や習慣を保存する歴史文化資料博物館を設立し、その名誉館長として余生を全うする。

場所は、天皇家の旧くからの生活が連綿と続いた京都にするのが良いと考えられる。更には館の目的からして適当で、地震や火山噴火、原発被災等の災害変動の少ないだろうと思われる地域が望ましい。

現在皇居に蔵置されている諸資料はじめ、天皇陵などについても歴史的検証を行い、宗教的修飾は別途保存をしつつ、事実に基づく整理整頓を進める。これだけでもかなりの歳月が必要となるが、現天皇の退位後の事業としては、決して疎かではないことを、受け止められるものとなるだろう。

 先ずはめでたく退位されんことを。