『侵略戦争/歴史事実と歴史認識』纐纈厚 (ちくま新書99/7)を読む

 これこれの歴史的事実と、それらをどう認識しているのかという歴史研究のイロハで、日本の近代史を辿り直す貴重な一書。
 昨今、日本を覆い尽くしたかに見える<歴史修正主義>に対する厳しい批判でもある。史実を、自分の好みでお坊ちゃん風に勝手に読み替えることではなく、事実を検証しプラスマイナスの批評をキチンとすることが大切。
 そうしてこそ、<歴史>を未来に活かすことが出来よう。 
 ●出版社よりこの本の内容

 日清戦争から十五年戦争にいたるまで、日本を貫いてきた侵略思想とは何だったのか。

 明治期、西欧に対抗するべく強大国家=覇権国家を建設する過 程で形成された帝国主義は、なぜ南京大虐殺慰安所設置に代表される暴虐を生み出したのか。

 歴史事実の実証を通じて、自己本位の侵略思想が再生産される構 造と体質を明らかにするとともに、歴史認識の共有による「平和的共存関係」への道を探る。

この本の目次

第1章 侵略思想の源流を探る
第2章 日中戦争から日米戦争へ
第3章 日独同盟関係のゆくえ
第4章 国体護持と支配層温存の試み
第5章 天皇制軍隊の特質と戦争の実態
第6章 残された課題は何か