「集団的自衛権はなぜ違憲なのか」木村草太 (晶文社15/8)を読む

この本は昨2015年7月に、自民・公明などの与党勢力によって強行採決された<安保法制>の複数法案に対して、その直前の国会質疑にも参加した、参考人の一人であった憲法学者によって書かれた。

 アメリカの子分である安倍政権の、野放図な海外派兵戦略は、現行<平和憲法>に照らせば、間違いなく違憲なのだ、ということ。単純明快なこの問題が、メディアでも殆ど明確に取り上げられず、政府広報に堕している大新聞やTV界のありさまから見ても快著というべきもの。

晶文社より

安保法制は違憲であるのみならず、
巨額の訴訟リスクの塊りである。
暴走する政権に対しては、
武器としての憲法学を。

明らかに憲法違反であるにもかかわらず、強引な手法で安全保障法案が国会を通過しようとしている。政権が暴走し、合理的な議論が困難になっているい まこそ、憲法の原則論が重要となる。憲法学の若き俊英がその知見をもとに、安倍政権が進めようとしている安保法制、集団的自衛権行使に対して行う根源的な 批判の書。哲学者・國分功一郎氏との対話「哲学と憲法学で読み解く民主主義と立憲主義」も収録。

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【目次】

■Ⅰ 集団的自衛権はなぜ違憲なのか

なぜ憲法学は集団的自衛権違憲説で一致するのか?
三つの観点から考える「日本国憲法とは何か?」
私を解放してくれた「日本国憲法

 

■Ⅱ 憲法を燃やす者たちは、いずれ国をも燃やすだろう

安保法制懇の無責任な報告書は訴訟リスクの塊である
政府の憲法解釈を立憲主義の原則から検証する
集団的自衛権に関する7・1閣議決定とは何だったのか?
憲法を燃やす者たちは、いずれ国をも燃やすだろう
解散・総選挙は憲法のルールを遵守しているか?
文言の精緻な分析から見えてくる安全保障法制の問題点
「ムベンベ」から憲法へつなぐセンスオブワンダー読書案内

■Ⅲ 哲学と憲法学で読み解く民主主義と立憲主義──國分功一郎×木村草太

哲学と憲法学で読み解く民主主義と立憲主義──哲学篇
哲学と憲法で読み解く民主主義と立憲主義──憲法学篇
哲学と憲法で読み解く民主主義と立憲主義──対話篇

■付録 軍事権を日本国政府に付与するか否かは、国民が憲法を通じて決めること──衆院特別委員会中央公聴会 公述

 

木村草太(きむら・そうた)
1980 年生まれ。憲法学者首都大学東京法学系准教授。東京大学法学部卒業。同助手を経て現職。著書に『キヨミズ准教授の法学入門』(星海社新書)、『憲法の急 所―権利論を組み立てる』(羽鳥書店)、『憲法の創造力』『憲法の条件―戦後70 年から考える』(NHK 出版新書)などがある。