『日本海軍はなぜ誤ったか』澤地久枝,半藤一利,戸高一成 (岩波現代文庫11/12)
サブタイトル<海軍反省会400時間の証言より>
先の大戦の開戦から敗戦まで、日本の海軍はどう対処したのか。当時の中堅将校達の回想と討論が<海軍反省会>として続けられた。
そのレポートが「NHKスペシャル」3部作=<第一回 開戦 海軍あつて国家なし><第二回 特攻やましき沈黙><第三回 戦犯裁判 第二の戦争>となり大きな反響をよんだ。さらにテープを起こしつつ、PHP研究所から「証言録 海軍反省会」9巻が刊行されている。
これらを澤地久枝,半藤一利,戸高一成の三人が読んで、見た感想を、それぞれの戦争あるいは戦後体験に重ねつつ、現在までの記録体験をもとに語り合う座談形式。
最後に三人が、次の世代に託そうとする戦争体験への思いは痛切ですらある。
印象的だったのは「特攻に殉じた若者たちの行為は、いかなる賛美も惜しむものではない。だからといって、特攻作戦を賛美することはできない。そこには深刻な反省と懺悔がなければならない」という鳥巣建之助元中佐の言葉。(第11回1981年)
もともと<特攻作戦>は海軍が発端であったと云う。
▶ イマジンプラス社長・笹川祐子の感謝ブロ2012/08/15)より
終戦記念日に、ふさわしい本ではなかろうか。
「日本海軍はなぜ過ったか 海軍反省会400時間の証言より」を読んでいます。
本の帯より~
「責任は東条英機一人ではない。むしろ、海軍側にある」
「海軍反省会」録音テープに残るトップエリートたちの生の声。
その衝撃をめぐる白熱の鼎談。
そこには、海軍トップエリートたちの実像や、戦争突入への実際の経緯などが生々しく語られていた。
勝算もないまま、なぜ日本は、戦争へ突き進んでいったのか? ~
澤地さんも講演会でおっしゃっていましたが、「第二次世界大戦、日本は無謀な戦争に突入していった。
軍隊を遠い遠いところへ連れて行った。
本来なら、食糧、薬、軍医など、そんなこと考えずにつっこんでいった。
200万戦死したというが、6割は餓死だ。
国は、脚気という病気で呼ぶが、実際のところは餓死」
重い重い言葉でした。
食べることさえできず、病気になり、見捨てられていった命はどれほどのものでしょう。
それに比べアメリカ軍は、ステーキを食べながらだ。
どう見たって、勝てっこない戦争にみずから玉砕していった。
この本を読みながら、こんなバカなことは2度と起きませんようにと願うが、悲しいかな、日本人の特質は、まだ政治にも経済にもしみついているようです。
海軍反省会による現代への教訓
少し長いですが、引用抜粋します。
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当時の海軍士官の多くは「実は戦争に反対であり」「戦えば必ず負ける」と考えていたにも関わらず、組織の中に入るとそれが大きな声とならずに戦争が始まった。
間違っているとわかっている作戦も、誰も反対せずに終戦まで続けていった、という実態である。
そこには日本海軍という組織が持っていた体質、「縦割りのセクショナリズム」「問題を隠蔽する体質」「ムードに流され意見をいえない空気」「責任のあいまいさ」があった。
それは、現在、危機が進行中の、東京電力福島第一原発発電所事故への関係機関の対応にみられるように、そのまま現代日本の組織が抱える問題や犯している罪でもあった。
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日本人は、一人ひとりの民度はものすごく高く、素晴らしい国民性を持っていると私も日頃から自負しています。
でも、組織の一員となると、どうして、隠蔽したり、きちんとした意見が言えないのだろう!?
戦争も原発事故も二度と起こさない。
私たち一人一人にかかっています。
その意味でも、すべての日本人に読んでいただきたい、読むべき本だと思います。