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<【NHKニュースウォッチ9】(2016年9月16日)>

<uttiiのTVウォッチ>Vol.0023より引用

 

【はじめに】

こんにちは。

9月16日金曜日、各局夜の看板ニュース番組は、辺野古「移設」
に関わる福岡高裁那覇支部の判決について報じましたが、比較の視
点を全面展開すると、素材が膨大になりすぎ、なかなか読みにくい
ものになってしまうかと思います。ということで、今回は、絞りに
絞って、NHKがどう伝えたかだけをご紹介し、それについてコメ
ントする中で務めを果たせたらと思います。まあ、やってみましょ
う。<uttiiのTVウォッチ>というよりは、<uttiiのNHKウォッ
チ>…というご批判は甘受します(笑)。いや、望むところかな…。

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【NHKニュースウォッチ9】(2016年9月16日)

●概要

スタジオからVTRへ、再びスタジオでキャスターがコメント。

●再現

(スタジオ・河野キャスター)沖縄のアメリカ軍普天間基地の移転
先とされる、名護市辺野古沖の埋め立て承認を巡る裁判で、初めて
の司法判断が示されました。

(鈴木キャスター)福岡高等裁判所那覇支部は国の訴えを認め、沖
縄県の翁長知事が埋め立て承認を取り消したのは違法だと判断しま
した。

(ナレ)注目の判決。裁判所前には、傍聴券を求める多くの人が。
32の傍聴席に対して、444人が並びました。普天間基地の移設
計画を巡って、計画を進めたい国と、阻止したい沖縄県との対立が
続く異例の事態。移設先の名護市辺野古沖の埋め立て承認を巡って、
去年秋以降、裁判で争っていました。双方の主張がぶつかる中、裁
判所の勧告で、ことし3月に和解が成立。国と県が問題の解決に向
けた協議を行い、法的な手続きも並行して行うことになりました。
このうち、法的な手続きについて、国は翁長知事が行った承認取り
消しを撤回するよう求める是正指示を出しましたが、県が応じなか
ったため、撤回しないのは違法だとする訴えを起こし、再び法廷で
の争いとなっていました。これまでの裁判での国と県、それぞれの
主張です。国は、前の知事が行った埋め立て承認により、普天間
地の返還が進んで、基地周辺の危険性が除去されるうえ、国防・外
交上の利益が大きく、翁長知事が承認を取り消したのは違法だと主
張。一方の沖縄県は、埋め立て承認は環境への影響を十分考慮して
いないなど不合理で、承認の取り消しに違法性はないと主張しまし
た。そして、きょう、司法の判断が初めて示されました。その内容
は、翁長知事が埋め立て承認を取り消したのは違法だとするもので
した。判決の中で、福岡高等裁判所那覇支部の多見谷寿郎裁判長は、
普天間基地の騒音被害や危険性は深刻で、移設先がほかに見当たら
ない中で、被害を取り除くには埋め立てを行い、辺野古沖に移設す
るしかない。移設により、県全体の基地負担が軽減され、辺野古
の施設の面積は、普天間基地の半分以下になると指摘しました。判
決を受けて、菅官房長官は。

(菅・オン)「国の主張が認められたことは歓迎をしたいと思います。
引き続き、国と沖縄県との間の和解の趣旨に沿って誠実に対応して
いきたい。話し合いと裁判を並行して進めていくと」

(ナレ)翁長知事は。

(翁長知事・会見オン)「大変、あ然としているところでございます。
辺野古が唯一との国の主張を追認するかのような内容になっており、
沖縄県民の気持ちを踏みにじる、あまりにも国に偏った判断となっ
ております。」

(ナレ)普天間基地を抱える宜野湾市の佐喜真市長は。

(佐喜真市長・オン)「沖縄県民にとって一番象徴的な基地の負担軽減
というのが、普天間の全面返還の合意だったと思いますし、また、
そういうことばっかりではなくて、解決するために双方が努力する
というのが必要だと思います。」

(ナレ)一方、政府が普天間基地の移転先としている、名護市の稲
嶺市長は。

(稲嶺市長・オン)「納得できない、今回の判決だと思います。とて
も中立だとかですね、……窺えるようなないようではないなと。」

(ナレ)沖縄県は、きょうの判決を不服として、最高裁判所に上告
する方針です。このため、国が中止している埋め立て工事は、引き
続き再開されない見通しとなっています。

(スタジオ戻り・鈴木)今回は国の主張を認める判決になりました
が、県は最高裁に上告する方針ということですから、裁判はまだ続
くということに。

(河野)そうですね。裁判はまだ続く形になりますが、ただ、3月
に成立した和解ではね、国と県の間で協議を行うということになっ
てるんですね。で、菅官房長官はね、先ほどもありましたように、
これ、誠実に対応したいと、話し合いと裁判を並行して進めていく
というふうに話しています。双方のまず話し合いで、解決策を探る
努力を尽くすということも、必要があるのではないかと思います。

●(uttiiの眼)

NHKはしばしばそうですが、彼らの伝え方の最大の特徴は、可能
な限り「公平」を装うということです。今回、国側と県側の対立構
図を反映して、常に、両者側からの意見を並べて紹介する形を取っ
ています(常に“国”が先ですが…)。しかし、それは形式上のこと。
微妙な印象操作が行われていることを見逃すわけにはいきません。
順番に見ていきます。

ナレーションで「国は翁長知事が行った承認取り消しを撤回するよ
う求める是正指示を出しましたが、県が応じなかったため、撤回し
ないのは違法だとする訴えを起こし、再び法廷での争いとなってい
ました。」といっている部分がありますね。ここが第一のポイント。

ごく普通の言い方に見えるかもしれませんが、国の「是正指示」か
ら始める必然性はどこにあるのでしょうか。翁長知事の前任者、仲
井眞知事が公約に反して埋め立て承認を行ったところから始めたら、
全然違う印象になっていたはずです。国が当然の「是正指示」を出
したのに、県がそれに従わなかったことが原因となって、つまり、
県のせいで、裁判になったという文章になっている。なかなか巧妙
ですね。

2つ目。国と県の裁判上の主張を並べるところでは、国は「前の知
事が行った埋め立て承認により、普天間基地の返還が進んで、基地
周辺の危険性が除去されるうえ、国防・外交上の利益が大きく、翁
長知事が承認を取り消したのは違法」との主張。県は、「埋め立て承
認は環境への影響を十分考慮していないなど不合理で、承認の取り
消しに違法性はない」との主張としている。

これ、国が79文字、県が44文字と、倍量近くを国側に充ててい
るという不公平だけでなく、内容上も著しく不公平なのは一目瞭然。
県は環境問題しか言っていないかのように書かれている。

また、裁判所はこの2つを並べて比較し、国に軍配を上げたという
ふうに見えるけれど、肝心な、判旨が全く紹介されていない。判決
は、安全保障に関することであれば国はいつでも好き勝手が出来る
ような理屈になっていて、自治体は何も言えないことになるような
酷い内容だったのに、そのことについては一言も触れていない。判
決のなかで最も問題にすべきは、「地方自治の否定」だったのに、N
HKはまるで見なかったようなふりをしている。

3つ目。宜野湾市長と名護市長のコメントの分量も、前者が後者の
倍近く。中身も、宜野湾市長はある種の理屈をしゃべらせてもらえ
ているが、名護市長は「感情論」として切り捨てが可能な部分しか
紹介されていない。

4つ目。これが最悪だと私は思っているが、スタジオに戻る直前の
ナレーションの中身が酷い。

沖縄県は、きょうの判決を不服として、最高裁判所に上告する方
針です。このため、国が中止している埋め立て工事は、引き続き再
開されない見通しとなっています。」

となっています。これ、意味としては、沖縄県が上告なんかして時
間稼ぎをするから、負担軽減につながる「埋め立て工事再開」がで
きないんですよ、という文章ですよね。完全に国側の論理に立って
いる。国側のつぶやき。

NHKは極めて不公平な、政権のための「報道機関」に見えます。

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