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< <社説>警察「土人」発言 「構造的差別」責任は政府に>

<琉球新報 2016年10月20日 06:02>

米軍北部訓練場内のヘリパッド建設で基地のフェンス越しに建設反対を訴える市民に対し、大阪府警の機動隊員が「土人」の暴言を発した。県警は事実を認め、「発言は遺憾」と表明した。

 「土人」発言は、反対運動の市民だけでなく、県民の心を深く傷つけた。警察への信頼も大きく失墜させた。機動隊員の監督責任者は県民に対し明確に謝罪し、発言した隊員を警察法や侮辱罪などの法令に基づき厳正に処罰すべきだ。
 現場の機動隊員は全国から招集されている。隊員の差別発言は、監督者の責任も問われる。隊員に対し、沖縄の基地問題や建設に反対する民情を理解させ、公正中立の立場で職務を行わせる指導、監督をおろそかにした責任は大きい。
 フェンスを挟んで向き合う市民への「土人」の暴言は、行動を抑制するのでなく挑発そのものだ。工事を邪魔する者は排除すればいいという、安倍政権、沖縄防衛局の意思を反映したものだろう。
 訓練場内のフェンスの鉄線を切断したとされる沖縄平和運動センターの山城博治議長は、防衛局職員の通報で逮捕された。反対運動を萎縮させたい防衛局の意を酌む「狙い撃ち」と批判されている。
 反対行動を抑圧する警察活動の、事実上の指揮者は防衛局、政府である。大規模な機動隊投入、不当な車両検閲、市民や新聞記者の排除、自衛隊ヘリの投入と、ヘリパッド建設のため政府はあらゆる手段を取っている。

 建設を至上命題とする政府の意を受け、あるいは指揮の下に、警察法が規定する「公平中正」を逸脱する警察活動が行われているのは明白だ。
 沖縄差別は歴史的な問題だ。琉球処分、大戦時には沖縄を本土防衛の防波堤にし、戦後は米軍占領を許し、米軍基地を集中させた。
 政府の沖縄に対する歴史に根差した「構造的差別」の延長線上に、辺野古新基地建設、ヘリパッド建設がある。
 県知事選、名護市長選、県議選ほか幾たびの国政選挙で県民は基地反対の民意を示してきた。民意を踏みにじり基地建設を強行する国家政策そのものが「構造的差別」と言わざるを得ない。
 沖縄は日本の植民地ではない。沖縄差別、今回の「土人発言」の責任は政府の差別政策にある。沖縄に対する構造的差別を改めぬ限り、不毛な対立は終わらない