<<南スーダンPKO>新任務先発130人青森出発>河北新報16/11/21

南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)で、新任務「駆け付け警護」などが付与された陸上自衛隊11次隊の先発隊約130人が20日、青森空港青森市)を出発、羽田を経由し成田から民間機で出国した。21日に首都ジュバに到着する予定。青森空港では隊員の家族や友人ら約200人が見送った。
 11次隊は陸自第9師団第5普通科連隊(青森市)を中心とした部隊。先発隊は午前8時半ごろ、家族らとバスで青森空港に到着。家族らが両脇に並ぶ中、田中仁朗(よしろう)隊長を先頭に空港に入った。涙ぐみ、握手やハイタッチで別れを惜しむ家族もいた。
 出発ロビーでは山之上哲郎東北方面総監、納冨中(のうどみみつる)第9師団長や各部隊長が握手などで隊員を激励。家族らは3階の送迎デッキで、隊員が搭乗した旅客機が飛び立つのを見送った。
 30日には主力1波の約120人、12月14日に2波約100人が青森空港から現地に向かう。
 駆け付け警護は武器使用権限を任務遂行目的の警告射撃にも拡大。自衛隊の海外派遣は転換点を迎え、戦闘に巻き込まれるリスクの増加が懸念される。
 南スーダンでは政府軍と反政府勢力間に大規模な衝突が起きるなど、現地情勢は不安定だ。政府は自衛隊の活動をジュバやその周辺に限定し、新任務も治安情勢や他国軍の動向などを見極め、保護の必要な状況が発生すれば実行する。新任務の運用開始は、10次隊から指揮権が移る来月12日からになる。
 5月から約半年間、ジュバで活動した10次隊の先発隊は20日、北海道・新千歳空港に帰国。第7師団(千歳市)が中心で、7月に衝突が起きた際は、宿営地周辺でも銃撃戦があった。
 10次隊の先発隊を率いた蝶野元希2佐は取材に「銃声は聞こえたが、命の危険は感じなかった」と説明。11次隊に対し「新しい任務を付与され緊張はあるだろうが、平常心でやってほしい」と話した。

 

南スーダンPKO>とにかく無事で 家族涙

「体を大事に」「頑張って」。南スーダン国連平和維持活動(PKO)に向かう陸上自衛隊11次隊の先発隊が20日、青森市青森空港をたった。隊員の家族らは「とにかく無事で」の思いを胸に、それぞれの父、夫、息子、娘を見送った。
 青森市に住む10歳から4歳までの3姉妹は空港3階の送迎デッキで、父親(44)が乗る旅客機に手を振り、呼び掛けた。「じゃあねー、パパ」「お仕事頑張ってね」。
 3人の娘たちのそばで母親(43)は少し不安そうに語った。「新任務についてはよく分からない。現地の治安状況や仕事の内容も知りたいので、電話してほしい」
 7歳と5歳の娘を持つ五所川原市の斎藤千秋さん(32)は夫(37)に「ちゃんと帰ってくるからね」と言われ、「頑張ってきて」と握手で送り出した。斎藤さんは「任務も大切だが、無事に帰ってきてほしい」と涙ぐみ、「訓練したから大丈夫だと思うが、実際はどうなるのか」と複雑な心情をのぞかせた。
 霞目駐屯地(仙台市若林区)所属の息子(33)を持つ横手市の男性(63)は「あまり心配はしてないし、最後は本人が決めること。息子は笑顔だった。無事に帰ってくることを願う」と話した。
 北秋田市の女性(55)の長女(30)は以前から海外での任務を希望していた。女性は「19日の夜に普段通りの話をしたが、仕事の話はできなかった。任務の説明書類を読んだが難しかった。新任務については国の調査や大臣の発言を信じている」と静かに語った。