<共謀罪「監視だ」野党反発 「五輪に不可欠」首相強調>東京新聞17/1/26/朝刊

三日間にわたる衆参両院の各党代表質問では、犯罪計画を話し合って合意することを処罰対象とする「共謀罪」と同じ趣旨の「テロ等準備罪」を巡り、論戦が繰り広げられた。野党がさまざまな疑問や懸念を投げかけたのに対して、安倍晋三首相は二〇二〇年の東京五輪パラリンピックに向け創設が不可欠と強調した。 (横山大輔、古田哲也)

 テロ等準備罪は、犯罪を実行する前の計画の段階で捜査や処罰の対象にする。政府は過去に法案を提出した時は共謀罪という表現を使っていたが、今回は世論の反発を意識し、テロ等準備罪に書き換える。

 共産党小池晃書記局長は思想や良心の自由を保障した憲法一九条に基づき、テロ等準備罪を盛り込む組織犯罪処罰法改正案を「違憲立法だ」と指摘。自由党山本太郎共同代表も「国民を監視し、権力が思想・信条の領域に足を踏み入れる、とんでもない法律」と批判した。

 首相は、犯罪の主体をテロ組織をはじめとした組織犯罪集団に限定していることなどを理由に「共謀罪と呼ぶのは間違い」と強調。「国民の思想や内心まで取り締まる、多数の一般人が監視の対象になるという懸念は、全く根拠のないものだ」と反論した。

 テロ等準備罪の創設を急ぐ理由に関し、首相は日本の国際組織犯罪防止条約の締結に同罪が必要で、「条約を締結できなければ東京五輪を開けないと言っても過言でない」と述べている。自民党岡田直樹幹事長代理も、未締結の現状を「国際的な捜査協力や情報ネットワークに入れないのは異常な事態」と非難し、今国会での法案成立を目指す政府を後押しした。

 だが民進党大串博志政調会長は、日本の刑法体系で予備罪、準備罪など共謀を犯罪とする措置が既にかなりあることから「現行法で十分という有力な議論がある」と指摘した。