<国際貢献という「パフォーマンス」の陰で>マガジン9 /16/11/16

 11月15日、政府は南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣される陸上自衛隊の部隊に、昨年成立した安全保障関連法に基づく新任務「駆けつけ警護」を付与することなどを盛り込んだ実施計画を閣議決定しました。現地の治安状況などを懸念する声もある中、安倍首相はTPP特別委員会で「(自衛隊が活動する首都の)ジュバは比較的落ち着いている」と述べたとのこと。
 しかし、何度も南スーダンを取材している朝日新聞アフリカ特派員・三浦英之記者は今月14日のツイートで、7月にジュバで起こった大規模な戦闘の際、「自衛隊の宿営地のすぐそばで丸2日間、激しい銃撃戦が起きていた」ことを伝えています。反政府勢力200人と政府軍400人が対峙し、両勢力合わせて28人が死亡した銃撃戦。反政府勢力が立てこもったビルは、まさに宿営地のすぐ隣のビルだったといいます。
 他にも、この7月の戦闘の際には民間施設のみならず国連施設までもが襲撃され、政府軍兵士によるNGO職員への集団レイプ事件も発生。反政府勢力のトップ自身がインタビューに答えて「(政府軍との)和平合意は崩壊している」との認識を示した、とも書かれています。
 10月に現地を訪れたはずの稲田朋美防衛相、そしてその報告を受けたであろう安倍首相は、こうした事実を知っていてなお「情勢は落ち着いている」「(現地で起こっているのは)衝突ではなく戦闘行為」と繰り返してきたのでしょうか。16日の東京新聞は、民進党後藤祐一議員が、自衛隊が稲田防衛相に提出した「現地状況報告」の開示を求めたところ、ほとんどすべての情報が黒塗りされた状態で開示されたことも伝えています。

 東京外国語大学教授の伊勢崎賢治さんは、「住民保護」という目的のためには中立性をかなぐり捨てて武力を行使することもあるのが現在のPKOであり、そもそも自衛隊派遣の条件とされているはずの「PKO五原則」は意味をなしていないと繰り返し指摘されてきました。そんな状況下で、自衛隊員のリスクをさらに大きく高めるであろう決定が、最低限の正しい情報さえ出されないままに進められていくことは、どう考えてもおかしいと感じます。 
 先述の三浦記者は、南スーダン取材で感じたこととして、こんなふうにもツイートされていました。
 〈PKO派遣は南スーダンのためではなく、積極的平和主義を掲げる現政権のパフォーマンスの意味が強いように見える。視界の先には南スーダン市民や自衛隊の家族の姿はなく、国際社会での発言力の維持や国際貢献をしているという「自己満足」ではないか〉
 そうだとしたら、その「パフォーマンス」や「自己満足」は、あまりにも大きな犠牲を生み出しかねません。

 

(西村リユ)

<<南スーダンPKO>新任務先発130人青森出発>河北新報16/11/21

南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)で、新任務「駆け付け警護」などが付与された陸上自衛隊11次隊の先発隊約130人が20日、青森空港青森市)を出発、羽田を経由し成田から民間機で出国した。21日に首都ジュバに到着する予定。青森空港では隊員の家族や友人ら約200人が見送った。
 11次隊は陸自第9師団第5普通科連隊(青森市)を中心とした部隊。先発隊は午前8時半ごろ、家族らとバスで青森空港に到着。家族らが両脇に並ぶ中、田中仁朗(よしろう)隊長を先頭に空港に入った。涙ぐみ、握手やハイタッチで別れを惜しむ家族もいた。
 出発ロビーでは山之上哲郎東北方面総監、納冨中(のうどみみつる)第9師団長や各部隊長が握手などで隊員を激励。家族らは3階の送迎デッキで、隊員が搭乗した旅客機が飛び立つのを見送った。
 30日には主力1波の約120人、12月14日に2波約100人が青森空港から現地に向かう。
 駆け付け警護は武器使用権限を任務遂行目的の警告射撃にも拡大。自衛隊の海外派遣は転換点を迎え、戦闘に巻き込まれるリスクの増加が懸念される。
 南スーダンでは政府軍と反政府勢力間に大規模な衝突が起きるなど、現地情勢は不安定だ。政府は自衛隊の活動をジュバやその周辺に限定し、新任務も治安情勢や他国軍の動向などを見極め、保護の必要な状況が発生すれば実行する。新任務の運用開始は、10次隊から指揮権が移る来月12日からになる。
 5月から約半年間、ジュバで活動した10次隊の先発隊は20日、北海道・新千歳空港に帰国。第7師団(千歳市)が中心で、7月に衝突が起きた際は、宿営地周辺でも銃撃戦があった。
 10次隊の先発隊を率いた蝶野元希2佐は取材に「銃声は聞こえたが、命の危険は感じなかった」と説明。11次隊に対し「新しい任務を付与され緊張はあるだろうが、平常心でやってほしい」と話した。

 

南スーダンPKO>とにかく無事で 家族涙

「体を大事に」「頑張って」。南スーダン国連平和維持活動(PKO)に向かう陸上自衛隊11次隊の先発隊が20日、青森市青森空港をたった。隊員の家族らは「とにかく無事で」の思いを胸に、それぞれの父、夫、息子、娘を見送った。
 青森市に住む10歳から4歳までの3姉妹は空港3階の送迎デッキで、父親(44)が乗る旅客機に手を振り、呼び掛けた。「じゃあねー、パパ」「お仕事頑張ってね」。
 3人の娘たちのそばで母親(43)は少し不安そうに語った。「新任務についてはよく分からない。現地の治安状況や仕事の内容も知りたいので、電話してほしい」
 7歳と5歳の娘を持つ五所川原市の斎藤千秋さん(32)は夫(37)に「ちゃんと帰ってくるからね」と言われ、「頑張ってきて」と握手で送り出した。斎藤さんは「任務も大切だが、無事に帰ってきてほしい」と涙ぐみ、「訓練したから大丈夫だと思うが、実際はどうなるのか」と複雑な心情をのぞかせた。
 霞目駐屯地(仙台市若林区)所属の息子(33)を持つ横手市の男性(63)は「あまり心配はしてないし、最後は本人が決めること。息子は笑顔だった。無事に帰ってくることを願う」と話した。
 北秋田市の女性(55)の長女(30)は以前から海外での任務を希望していた。女性は「19日の夜に普段通りの話をしたが、仕事の話はできなかった。任務の説明書類を読んだが難しかった。新任務については国の調査や大臣の発言を信じている」と静かに語った。

<朴槿恵を笑えない安倍首相の側近政治!>Infoseek 楽天 NEWS16/11/12

 朴槿恵大統領の親友・崔順実(チェ・スンシル)容疑者による国政介入事件は、収拾のつかない事態となっている。安鍾範(アン・ジョンボム)・前大統領府政策調整首席秘書官やチョン・ホソン元付属秘書官など、朴大統領の側近秘書官たちが逮捕された後も、新たな疑惑が次々と噴出。朴政権は完全に機能停止に陥っている。

 この事件が韓国に激震をもたらしているのはもちろんだが、韓国と同じくらい大騒ぎしているのが日本のメディアだ。ワイドショーは連日トップ扱いで、朴大統領がいかに崔容疑者に操られていたか、崔容疑者にどんな人脈が連なっていたかを大きく報じ、コメンテーターたちは「日本ではあり得ない事件」「日本より遅れた二流国家だから」「まるで韓流ドラマのよう」などと発言をしている。

 しかし、韓国で起こっていることは本当に「日本ではあり得ない」ことなのか。実は、日本の総理大臣・安倍晋三についてもかなり前から、ある人物に「操られている」という指摘がなされてきた。

その人物とは、本サイトでもたびたび報じてきた総理首席秘書官の今井尚哉氏。今井秘書官は経済産業省出身の元官僚で、第一次安倍政権で内閣秘書官を務めて以降、安倍首相と急接近。第二次安倍政権で、5人の秘書官を統括する首席秘書官をつとめているのだが、永田町ではいまや"影の総理大臣"とまでいわれるくらい、大きな力をもっているのだという。

「今井さんは安倍首相の行動日程やスピーチ原稿をすべて仕切っているのはもちろん、政策決定プロセスにも大きく関わっている。安倍首相がメリットも実現性もないTPPに前のめりになったのも、原発再稼働にやたら熱心なのも、今井秘書官の入れ知恵が大きい。安倍首相は何かを決めるとき『今井ちゃんがこう言ってたから』というのが口癖で、経済や外交の重要政策は今井氏に必ず相談して、ほとんど今井氏の言う通りにしている。細い詰めも全部今井さん任せ。その仕事の任せ方は全権委任に近く、その影響力は盟友と言われる菅義偉官房長官麻生太郎財務相よりもはるかに大きい」(政治評論家)

 実は、今井氏の側近政治については、過去に月刊誌や週刊誌で何度も記事になっている。

 たとえば、「文藝春秋」文藝春秋)2015年12月号は「首相を振りつける豪腕秘書官研究」(森功)と題するルポで、これまでの安倍政権の重要政策に、いかに今井秘書官が深く関わってきたかを官邸関係者の証言をもとにつまびらかにしている。

 

その代表が、アベノミクスの三本の矢だ。同記事で官邸関係者がこう証言している。

「前の三本の矢もエール大学の浜田宏一名誉教授の金融緩和や京大の藤井聡教授の国土強靭化計画を取り入れ、実際の政策に落とし込んだのは今井さんでした。総理に対し、『一年後はこうなって、五年後には、こうなる』とプレゼンをすると、『さすが今井ちゃん、なんて頭がいいんだ』となる」

 また、安倍政権は安保法制を強行採決した直後、これからは経済に重点をおくとして「新アベノミクス」「一億総活躍社会」をぶちあげたが、これも今井秘書官の発案で「今井さんは経産省の素案を受け取ってから事実上、 一〜二日で新アベノミクスを仕上げました」との証言が同誌に掲載されている。しかも、このとき、今井秘書官は「今度のアベノミクスは、安保から国民の目をそらすことが大事なんです」とうそぶいたという。

 どうも、この首相側近は単純な政策提言だけではなく、政局運営や世論誘導まで仕切っているらしいのだ。実際、14年11月の消費増税先送りを名目にした電撃的な衆院解散も今井秘書官がシナリオを書いたものだ。「文藝春秋」にはこの舞台裏に関する証言も掲載されている。

「総理の外遊に同行していた今井さんは十月初め、ASEAN会場のミャンマーから一人抜けて帰国し、現財務次官の田中一穂さんに消費増税先送りの直談判をしています。(略)その報告を受けた総理は、豪州からの帰りの飛行機で今井さんをそばに置き、麻生太郎財務大臣を説得した。そうして今井さんの描いたスケジュールに沿って解散を決めたそうです」

 今井秘書官は外交にも深く関与し、2015年夏の「戦後70年談話」も手がけている。周知のように、70年談話は、表向き謝罪の姿勢の継続を示しながら、「子や孫、先の世代に謝罪を続ける宿命を負わせてはならない」とする詐術的なものだったが、これも「文藝春秋」によれば、〈「二十一世紀構想懇談会」の報告書を下敷きにし、事実上、今井が談話の原稿をとりまとめている。ドイツサミット後の六月から、原稿作成に着手し、安倍と直接やり取りをしながら、三度ほど書き直した〉ものだったという。

 ちなみに、この談話のあと、中国から大きな反発がなかったことがわかると、今井秘書官は「あの談話はあらかじめ中国の反応を探っていたから、とうぜんだ」と鼻を膨らませたという逸話もある。

 まさに、影の総理という評判がぴったりの驚くべき暗躍ぶりだが、しかし、今井秘書官による側近政治を指摘しているのは「文藝春秋」だけではない。複数の週刊誌が同様の問題点を指摘している上、今井秘書官が安倍首相を囲い込んで、コントロールしている実態まで明らかにしている。

 

「総理に会おうと思って、日程を管理している今井さんに連絡を取ろうにも、秘書官室にはいないし、携帯電話にも出ない。話が出来ても、『どうしても総理じゃないとダメですか?』と、こう来る。会う会わないは総理が決めることなのに、今井さんの判断で止められてしまうんです」(「週刊新潮」(新潮社)2014年4月3日号より 自民党関係者のコメント)

「総理の日程調整を今井氏が一手に引き受けているから、どうしてもみんな遠慮してしまう。国対委員長佐藤勉氏でさえ総理への面会を断られ、『おいおい何様だよ』とこぼしていた。」(「フライデー」(講談社)2016年6月13日号より 自民党職員のコメント)

 囲い込みだけではない。首相の諮問機関や官邸主導のプロジェクトにも、今井秘書官は自分の人脈をどんどん投入している。たとえば、その典型が今井秘書官の叔父である今井敬・元経団連会長だ。敬氏は11月からスタートした天皇退位問題を議論する有識者会議の座長を務めているが、皇室問題の専門家でもない今井元会長が抜擢されたのは、もちろん、甥の今井秘書官の推薦だった。

「最近も、今井秘書官の安倍首相への影響力はどんどん強まっています。今年5月、消費増税再延期を正当化するために、伊勢志摩サミットで、「世界経済の状況がリーマンショック前に似ている」とした資料を各国首脳に配布しましたが、今井氏の指揮のもと作成したものでした」(全国紙官邸担当記者)

 こうやってみると、秘書官か民間人かという違いだけで、特定の人物が政権を操り、政策を牛耳っている状況は、韓国とほとんど変わりがないように思えてくるではないか。

 そういえば、朴大統領と崔容疑者の親密関係は、朴大統領の父親である朴正煕(パク・チョンヒ)大統領と崔容疑者の父親との側近関係から始まったと報道されているが、安倍首相と今井秘書官の関係も安倍首相の祖父、岸信介元首相にルーツがあるのだ。岸元首相は戦前、経産省通産省の前身である商工省で大臣を務めていたのは知られているが、その部下が今井氏のもうひとりの叔父で、ドラマ化もされた作家・城山三郎の『官僚たちの夏』(新潮社)のモデルとなった今井善衛・元通産事務次官だった。また、昭恵夫人を通じて両者は縁戚にも当たるという。

 かつて権力者だった血縁者から引き継いだ人脈、という意味でも、今井秘書官と崔容疑者はそっくりなのだ。

 もっとも、こうした指摘をすると、おそらく安倍応援団から「財団をつくらせて私物化していた民間人の崔容疑者と首相秘書官として国益のために働いている今井秘書官をいっしょにするな」という反論が返ってくるだろう。

 

 

 たしかに、今井秘書官は首相の手足となって働く公的な役職にあり、今の所、財団などを設立させていたという形跡もない。しかし、選挙で選ばれたわけでもないただの秘書官がここまで、政策をコトントロールしているというのは危険極まりないだろう。しかも、今井秘書官の動きを検証してみると、国益のためなどではなく、自分の関係する団体の利益のためではないかと疑いたくなるものが多々あるのだ。

 そのひとつが、原発推進だ。もともと、今井氏は経産省で産業政策・エネルギー畑を歩んでおり、原発輸出政策の立案をした中心人物だった。そして、2011年、福島原発事故が起きた後も、資源エネルギー庁次長として民主党政権や再稼働に反対する橋下徹大阪府知事(当時)などを直接説得、「原発ゼロ政策」を撤回させている。

 そして、第二次安倍政権が誕生すると、安倍首相を動かして、強硬な原発再稼働を推し進め、トルコやインドなどへの原発売り込みをさせていったのだ。

「ようするに、今井さんはもともと経産省原発ムラに属し、電力会社や原子力産業とべったりの関係にあったんです。その意向を反映した政策を安倍政権で次々と実現させている。もともと安倍政権に接近したのも、経産省原子力ムラが送り込んだのではないかといわれているほどです」(経産省関係者)

 もうひとつ、今井秘書官の大きな問題は、先日、強行採決されたTPPへの関与だ。このTPPについては、以前、安倍首相が反対を表明していたにもかかわらず、政権に返り咲いた途端、賛成に転換し、明らかに日本に不利な、農業がガタガタになるのは必至の条件を丸呑みして大筋合意。しかも、米大統領選で先行きが不透明になった後も、姿勢を変えず、先日の大統領選でTPP反対のトランプ当選後に衆院強行採決をし、世界中に恥さらす結果となった。自民党内でも安倍首相がなぜ、ここまでTPPにこだわるのか、首をひねる向きが多かったが、実はこれも今井秘書官の動きが大きかったという。

「安倍政権は2013年の段階で「TPPによって10年間でGDPが3兆2000億円上昇」、今年の所信表明演説でも、「TPPの誕生は、我が国のGDPを14兆円押し上げ、80万人もの新しい雇用を生み出します」などと、恣意的に操作したデータを並べていましたが、これは、今井さんが安倍首相に持ち込んだんです。実はTPP経産省の悲願で、とにかく何が何でも成立させようとしており、今井さんはその意を受けていた。当初、安倍さんはそこまで積極的ではありませんでしたから、途中で今井さんに洗脳されてしまったんでしょう」(前出・経産省関係者)

 原発TPP推進......こうしてみると、国家への悪影響という意味では、文化政策を私物化した崔容疑者よりも、むしろ今井秘書官のほうが問題が大きいとさえいえるのではないか。

 しかし、安倍首相からの恫喝にすっかり萎縮しきった日本メディアは自国で起こっているこうした事態を決して報じようとはしない。お隣の国の国家スキャンダルを嬉々として報じている場合ではないと思うのだが。
(田部祥太)

 

 

<子育て支援団体が激怒 安倍首相「署名文書」の唖然内容>日刊ゲンダイ16/11/16

内閣府が「子供の未来応援国民運動」の1周年を記念し、今月8日付で〈総理大臣 安倍晋三〉の名入りの文書を公表した。〈日本の未来を担うみなさんへ〉と題され、総理が優しく語り掛ける文面なのだが、これに対し、無料や割安の食事を提供している「子供食堂」を運営しているNPO団体などから怒りの声が出ている。

■ボランティア頼みの「国民運動」

 日本では平均所得の半分未満の家庭で暮らす子供の割合が2012年に16.3%と過去最悪を更新。子供の6人に1人が貧困状態で、これを受け、政府は昨年10月、安倍首相本人が発起人となって「子供の未来応援基金」を設立。基金を活用し、子供の貧困対策を支援する「国民運動」をブチ上げた。

 ただ、支援というと聞こえはいいが、中身は税金を使わずに「ボランティアや寄付に丸投げ」というコト。そんな愚策に1周年もヘチマもないが、公表された文書がまた唖然とする内容だった。

 

〈あなたは決してひとりではありません。こども食堂でともにテーブルを囲んでくれるおじさん、おばさん(略)そばで支え、その手を導いてくれる人が必ずいます〉〈あなたの未来を決めるのはあなた自身です〉

 関東地方で子供食堂の運営を手伝う主婦ボランティアはこう憤る。

「『あなた自身』ではどうにもならないから貧困に陥っているのです。本来は国が真っ先に手を差し伸べるべきで、そういう社会的弱者を救うために国民は税金を納めている。ボランティアのおじさん、おばさんよろしく――ではないでしょう」

 安倍政権は最近も、ヨルダンやフィリピン、ミャンマーに数百億円単位で気前よくカネをバラまいているが、自国の子供たちとどちらが大事なのか。経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。

「『日本の未来を担うみなさん』というが、担う子供たちのために国は何もしていません。貧困がなくならない最大の原因は、教育費が高過ぎること。ここを変えない限り、貧困の連鎖が続き、子供たちはチャレンジできないのです。税金の使い方が間違っています」

 社民党福島瑞穂参院議員はツイッターで〈給食の無償化をするのに、4800億円〉〈TPP関連の予算(に)5000億円〉と指摘している。発効が絶望的になったTPPを早く断念して、それこそ子供の貧困支援に使うべきだ。

<南スーダンPKOに陸自第1陣出発>しんぶん赤旗2016年11月21日(月)

サブタイトル「息子の命の危険感じる」/戦争法で新任務付与

 

 南スーダンPKO(国連平和維持活動)に参加する陸上自衛隊第11次派遣隊のうち、第1陣となる約130人が20日午前、青森空港青森市)から出発しました。東京・羽田空港を経由して21日には同国の首都ジュバの宿営地に到着します。残る220人は12月14日までに出発する予定です。


写真

(写真)出発前に家族と握手を交わす隊員=20日、青森空港

 政府は15日の閣議決定で、南スーダンPKOに関し戦争法=安保法制に基づく自衛隊初の新任務として、「駆け付け警護」と「宿営地共同防護」を付与。任務遂行のための武器使用が可能となりました。加えて南スーダンの治安情勢が悪化していることで、出発する自衛隊員を見送る家族からは不安の声が相次ぎました。

 6歳と7歳の娘とともに見送りに来た女性(31)は「夫からは南スーダンに行くことを夏に告げられました。どんな国なのかまったくわからず、調べてみると情勢が悪くて心配になってしまいました。政府はジュバは安全だというけど、何が起こるかわかりません」と言いました。

 警備小隊に所属する息子が派遣されるという女性(64)は涙ながらに語りました。「『駆け付け警護』のことを聞いたとき、戦争の一環のような印象を受けました。武器をもって『駆け付け警護』をしてしまうと、(平和な)日本がその先に進んでしまいそうで怖い。息子の命の危険を感じて、本当に不安です」

 青森空港前では、自衛隊南スーダン派遣に抗議する日本平和大会青森県実行委員会による行動が行われました。

<実態は日本の外交的敗北 日印原子力協定“ベタ降り”の中身>日刊ゲンダイ16/11/14

トランプ騒動の最中、安倍首相は来日したインドのモディ首相と11日に「日印原子力協定」に署名した。福島第1原発事故の収束もできないのに、NPT(核兵器不拡散条約)にもCTBT(包括的核実験禁止条約)にも非加盟の核保有国に、原発を売り渡すトンデモ協定だ。

 安倍首相は広島・長崎から上がる激しい抗議もどこ吹く風で、翌日には川崎重工の兵庫工場にモディ首相をアテンド。新幹線の追加受注を必死にお願いする商魂ぶりだ。

 安倍首相はインドが核実験した場合は協定を破棄すると強調してきたが、協定への明記を主張した日本に、インドは「安全保障に関わる」と猛反発。結局、「見解及び了解に関する公文」というヘンテコな関連文書に日本の言い分を並べ、〈両国の見解の正確な反映であることが了解される〉とまとめた玉虫色の書面で決着を急いだのである。

 

 ■まるで死の商人

「核爆発はダメだけれど、臨界前核実験は不問。核弾頭を運搬するミサイル技術についてもフリーハンドというメチャクチャな協定です。背景には、インドで来年中の原発建設着工を目指す米仏のプレッシャーがある。作業は『日本製鋼所』の鋼材がなければ進まないのですが、NPT非加盟のインドへの輸出は原子力協定が必須。逆算すると、ギリギリのタイミングでした。協力停止措置をめぐってもインドに押し切られた。日本のメディアは伝えませんが、インドの外務次官は〈日本と特別な協定を結ぶわけではない〉と堂々と発言しています」(岐阜女子大南アジア研究センター特任教授の福永正明氏)

 安倍首相はインフラ輸出でアベノミクスが加速するとうそぶいているが、実態は外交的敗北だ。しかも、核を持つ隣国パキスタンとの小競り合いがエスカレートしつつあるインドに原発を輸出するとは、死の商人もマッ青。これまで野党議員が、何度も質問主意書を提出して協定の中身をただしてきたが、いずれもゼロ回答だったわけである。

 

 「締結を受けて民進党議員が外務省に照会すると、〈深夜2時までに概要を案内します〉との返答だった。ところが大手マスコミには〈午後8時45分解禁〉の指定を付けて、詳細をまとめたレク資料をばらまいていた。ふざけた話です。来年の通常国会に提出して審議3時間で採決という情報も、あながち冗談とは思えません」(野党関係者)

 いつまで数に頼んだデタラメが続くのか。

<多国籍企業のための協定 禍根残すTPPは撤退を 「各国で反対広がる」>

◎大門氏 参院委での討論  <しんぶん赤旗>16/11/15

 

「TPP(環太平洋連携協定)は多国籍企業がもうけるためのルールづくりだ」―。日本共産党大門実紀史(みきし)議員は14日の参院TPP特別委員会で、TPPなどの「自由貿易」協定反対の動きが各国で高まっていることを示し、日本の将来に大きな禍根を残すTPP批准はやめるよう主張しました。

 (論戦ハイライト)


 米国では、TPP離脱を宣言してきたトランプ氏が大統領に当選しました。大門氏は、米国抜きでTPPは発効せず、再交渉を迫られる可能性があることを指摘。「このままの協定案を審議しても意味がなくなる」として、TPPからの撤退を求めました。

 安倍晋三首相は「国会でTPPが承認されることで、自由貿易を主導するわが国の決意を世界に示すことができる」と述べ、前のめりの姿勢を崩しませんでした。

 大門氏は、米国以外でも「自由貿易」協定反対の声が高まっていることを指摘(表)。ヨーロッパでは、EU(欧州連合)とカナダの自由貿易協定(CETA)、EUと米国の環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)に対して激しい抗議行動が起こり、政府官僚からも反対の声が上がっていることを示し、「多国籍企業の横暴で被害をこうむっている国民が怒りの声をあげているという認識はないのか」とただしました。

 安倍首相は「一部の人々に富が集まれば、ひずみを起こすのは事実。そういう状況をつくらない努力をしていく必要がある」と答えました。

 大門氏は、1990年代に入り、グローバル化が一気に進むなかで、「自由貿易」協定が多国籍企業の利潤を最大化するためのルールづくりになっている点を指摘。多国籍企業が各国に市場開放と規制緩和を求めて圧力をかけるため、雇用や賃金が抑え込まれ、農業や食の安全、医療など国民の暮らしが脅かされているとして、「人間あっての貿易であり、経済主権を含め、『守るべきものはきちんと守る』ルールづくりが今こそ求められている」と強調しました。

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首相「大変厳しい」

 安倍首相は14日の参院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会で、米大統領選でのトランプ氏の勝利を受けたTPP発効の可能性について「大変厳しい状況になってきた」と認めました。一方で、「米国が政権交代期にある今、わが国こそが早期発効を主導しなければならない」と述べ、TPP推進に固執していく姿勢を示しました。民進党小川勝也参院幹事長と自民党山田修路議員への答弁。

 首相はTPP発効を見通せない現状について「わが国の意思を示せなければTPPは完全に終わる」と危機感をあらわにしました。